既製サッシの製品動向

では、アルミサッシがいつ頃から普及しはじめたのでしょうか?
また、今後どのように変化していくのでしょうか?


3.住宅用サッシの変遷


 日本におけるアルミサッシの歴史は、昭和7年に近三ビル(設計:村野藤吾氏)に鋼製とアルミ製が複合された上げ下げ窓が採用されたことから始まります。昭和27年には、日本総合銀行(現さくら銀行、設計:前川国男氏)で、アルミ押出成形法によるアルミサッシが、日本国産として初めて採用されました。昭和30年代に入り、ビル用では鋼製からアルミ製への置換えが始まりました。

 木造住宅では、当時は木製が主流でしたが、昭和35年頃から多くのメーカーがアルミサッシの製造に着手し始め、昭和39年から40年になると住宅用サッシの普及が始まりました。こうして35年頃からアルミサッシは本格化し、40年代半ばには、ほぼ普及率100%に至りました。その間には、亜鉛鍍鉄板の屋根も普及し、藁葺の民家が消えていく過程の中で、外部木製建具も共に消えていきました。

 アルミサッシは、窓からの隙間風が少なく、雨仕舞の良いことから、木製サッシから置換えられていきました.。色のバリエーションや窓種類の増加し、収まりの形態も多様化。そうして、アルミサッシの種類が急増しました。色は、シルバー系、ブロンズ系、ダークブロンズ系、ホワイト系、ブラック系、グレー系と幅広く登場し、最近では、シルバー系や、アーリーアメリカン調デザインの住宅に多く取り入れられて、ニーズが高かったホワイト系は次第に少数派となってきています。また、メーカー各社が独自色を開発し、メーカー間の差別化を図る動きが見られます。

 納まりの面からみてみると、住宅外壁の大壁化、乾式仕上げ化に伴って内付け納まり用サッシがカタログから消え、半外付け納まり用サッシが主流となりました。また、家の間取りが洋風化となったことを受けて和室真壁納まり用外付サッシが減少傾向にあります。
 日本のサッシは、地方色が寸法にも反映しているのが特徴で、6尺(1818mm)を柱心々とする関東間、6.3尺(1909mm)を柱内法とする関西間、その他に柱内法5.8尺の福井間、同6.1尺の山陰間、同約6.18尺の西讃間や柱心々6.3尺の九州四国間などがあります。サッシの出荷比率は85%が関東間で、関西間が7.5%、九州四国間が5.7%、その他が2%となっています。(日本サッシ協会が97年に調査報告)

※参考文献 窓まわりのディテール 日経BPムック(H10.5.25発行)
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